キクケン


高校時代の担任の先生だった、キクケンこと、菊地健一先生が
地元盛岡のギャラリーで個展を開くと、同級生の綾子から
わざわざ連絡があったのだけれど、行くことが出来ず、
写真だけでも送ってもらった。

さすがに白髪は増えたが、相変わらずのご様子であった。

とても会いたかった。

今の自分が、こうやって東京に住んでいるのは、このキクケンの進路相談の
一言であったから。

臆病者な自分の中に、東京に上京する何てことは少しも考えていなく、
せいぜい仙台あたりのインテリア専門学校にでも進学しようと
考えている旨を話すと、

「お前みたいなのは、東京に出た方がいい!」とはっきり物申されて、
言われるがまま、なんの希望もなく、東京の印刷会社に就職したのだけれど。。。

2年程勤め、バンタンという学費が高いクソみたいな専門学校に進学しつつも、
冬さんというスタイリストのアシスタントに就くことが出来、
晴れてスタイリストとして独立することが出来た。

スタイリストという仕事で、いきなりメンズノンノなんていう
トップメンズファッション誌の仕事にありつけたことは、
運が良かったとしかいうほかあるまい。冬さんに就ていたお陰だし、
他媒体からも仕事の依頼が来た理由もメジャー雑誌で下積みをしてきた
お陰なんだと改めて思った。

その後色々あったけれど、今こうやって、東京という土地に暮らしけている
原因は、キクケンの一言がでかい。

当時はなんとも思わなかったけれど、今は改めて思う。

先日の個展に行かなかったことを後悔している。

改めて、タイミングを見計らって、会いに行きたい。

キクケンと話がしたい。

確か、当時高校生だった頃、彼は登山部の顧問をしていて、
登山の全国大会で優勝した経験があったはずだ。そんな記憶が残っているのだけど、
当時、全く山登りなんて興味がなかった自分が、今思うと、
勿体なかったな。。何て思ってしまったり。

その辺も含めもう一度ゆっくり酒でも飲みながら話ができたら幸せだ。


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写真 沼田綾子

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